高級感あふれる【極上青貝乾漆箸】の製造工程を紹介します
岩多箸店ではたくさんの種類のお箸を製造しています。
その中でも特に私があなたにお勧めしたいお箸があります。
それは「極上青貝乾漆箸」です。このお箸は、青貝を散りばめたきれいで丈夫なお箸です。
青貝とはどういう貝かわかりますか?
答えは、アワビやオウムガイ、ヤコウガイなどの、貝殻の裏側がきれいに光っている貝のことを言います。
「極上青貝乾漆箸」は、いわゆる螺鈿細工のお箸です。
今回は、なぜ私があなたにお勧めしたいかということを、「極上青貝乾漆箸」の製造工程を紹介することによって、できるだけわかりやすく説明したいと思います。
まず、お箸の製作は、木地を作るところから始まります。
岩多箸店では、能登ヒバや米ヒバといった軽くて丈夫な木地を使っており、能登ヒバは国産、米ヒバはカナダ産のものを使っています。
これらの木地は、十分な乾燥期間をとってから木地に加工していますので、曲がりや反りがほとんどありません。
この木地は、輪島の木地屋さんでお箸の形に加工され、岩多箸店に入ります。
いよいよここから、岩多箸店の仕事です。まず、木地を選別し、キズや曲がりなどのある木地を取り除きます。
その後、選別した木地に生漆を塗ります。
当店では「舟」という道具を使って漆を塗っていきます。
木地に漆をしみこませることによって、これから塗っていく漆と木地がなじむように、また、これから塗り重ねていくことになる漆がしっかり接着するようにします。
十分に漆がなじんだ後、その表面を磨きます。
これは表面に傷をつけることによって、次に塗る漆がきれいに接着するようになるからです。
この後、漆を「舟」で塗っていきます。まずは下地塗りです。
下地塗りが終ったあと、また磨きの工程を経て、中塗りに移ります。
岩多箸店では、ここから上塗り用の漆を塗っていきます。
これは漆の厚みを出すためです。
この中塗りの工程は、塗りと磨きを三回繰り返し、丈夫なお箸の土台を作ります。
中塗りが終ったお箸に仕上げの上塗りを施します。
この前にまた磨きの工程を入れます。
この上塗りは、ごみやほこりがつくと商品として売り物にならないので、専用の部屋で塗り、人の行き来を制限、ほこりなどが舞わないように注意しながら行います。
今まで、漆を塗って磨いてを繰り返していることを説明していましたが、これにはかなりの時間がかかります。
というのは、漆というものは、適度な湿度と温度で固まります。
この漆を固める部屋がしめ風呂です。このしめ風呂で温度と湿度を安定させ、漆を固めます。
漆を塗っている作業所には必ずあるものです。
漆が固まるまでの時間としては、漆の塗りの厚さにもよりますが、最低1週間から10日必要になります。
上塗りまでに、すでに6回漆を塗っていますので、ここまでに最短で2カ月は必要なんです!
ちなみに、私はこれまで漆が固まると表現していますが、一般的には漆が乾くというほうがわかりやすいですね。
ここからいよいよ青貝が登場します。
上塗りが終ったお箸に青貝を付けていきます。
青貝の付け方は、漆を接着剤代わりに使います。
やり方は、まずお箸に漆を塗ります。
黒のお箸なら上塗り用の黒漆、赤のお箸なら上塗り用の赤漆を使います。
漆を塗った後、その上から、青貝をふるいを使ってまんべんなく振りかけていきます。
この状態で漆を固めると青貝がお箸にくっつきます。
しめ風呂で十分漆を固めた後、余分に付いた青貝をはずし、表面をならしていきます。
この工程をしっかりしないと、これから漆を塗っていくときにきれいに仕上がりません。
きれいに青貝をならした後、漆を塗り重ねていきます。
この塗り重ねに使う漆も、黒のお箸なら上塗り用の黒漆。赤いお箸なら上塗り用の赤漆です。
ここから5回、塗りと磨きの工程を繰り返していきます。
上記で説明した通り、ここでも最低2カ月はかかります。
この5回塗り重ねと磨きを繰り返したお箸は、ここから短くても半年は寝かせることになります。
これは、漆が完全に固まるまでには半年から2年かかるといわれているからです。
岩多箸店では、現状1年は寝かせておくようにしています。
寝かせて、漆を完全に固まらせたお箸から、いよいよ青貝を研ぎ出していきます。
まずは目の粗いサンドペーパーで荒研ぎです。
完全に固まった漆は非常に硬いので、かなり時間がかかり、手に負担がかかる作業です。
これが終ると、少し目の細かいサンドペーパーで研ぎ出していきます。
中研ぎです。ここまでくると、かなりきれいに青貝が研ぎ出されてきます。
この中研ぎが終ると、もっと目の細かいサンドペーパーで仕上げ研ぎをします。
このように、三回に分けて段階的に青貝を研ぎ出していくことによって、むらなくきれいに研ぎ上げます。
これで研ぎ出し作業は終わりです。
しかし、いくら細かい目のサンドペーパーで磨いたとしても、表面には小さい傷が残ってしまいます。
これだは光沢が出ません。
ここから、次の艶出しの工程になります。
研磨剤を手に塗り、それでお箸を磨きます。
手でやることが重要なんです。
この作業により、小さな傷も無くなります。
そのあと、呂色漆を塗り、素手で磨き上げます。
艶の加減で、この工程を繰り返します。
この工程は、輪島塗の呂色という技術を応用しています。
ここまで終わると、艶があるピカピカできれいなお箸が出来上がります。
これで「極上青貝乾漆箸」の持ち手部分はほぼ完成しました。
ここから、お箸の食い先の部分の加工です。
このお箸の箸先は、ザラザラして、食べ物がつまみやすいようになっています。
このザラザラした部分は、乾漆粉を付けています。
乾漆粉とは、漆を固めた後、細かく粉砕して粉状にしたものです。
ではここから、箸先に乾漆粉を付ける工程の説明をさせていただきます。
まず、お箸の先の乾漆粉を付けるところまで、マスキングテープで上部を保護したうえで磨き、キズを付けます。
これは先ほどご説明したように、漆が接着しやすいようにするためです。
この作業が終ったら、箸先に色漆を塗って、その上から乾漆粉を付けます。
これは、青貝を付ける方法と一緒です。
この乾漆粉が付いたお箸の漆が固まったら、その上から漆を塗ります。
乾漆粉を止める工程です。このあと、漆が固まるのを待って、磨きの工程となります。
この工程の前にも、マスキングテープを貼り、きれいに仕上げた上部を守ります。
まんべんなく磨いた後、拭き漆(摺り漆)という作業を2回することによって、乾漆部分を仕上げます。
岩多箸店で製作している通常の乾漆箸よりも細かい乾漆粉を使用することによって、やわらかい口触りを実現しています。
最後の仕上げは、お箸の天付けです。
お箸を所定の長さに切断し、塗料を2回塗って仕上がりです。
「極上青貝乾漆箸」は、黒22.5cm、赤21cmです。
ちなみに、この「極上青貝乾漆箸」は輪島塗のお箸ではありません。
輪島漆器組合の定義に当てはめると、輪島うるし箸となります。
これは、製造工程の下地の部分で輪島地の粉を使用していないこと。
天付けに塗料を使っていることの2点が合致しないからです。
ただ、下地部分は輪島地の粉を使用した時とそん色ないように漆を塗り重ねています。
また、お箸の天の部分は、漆を何度も塗るとなると、それだけで数カ月かかります。
そこで強度は漆よりもあるといわれる塗料を使って製造しております。
以上のように、この「極上青貝乾漆箸」は、輪島塗とは言えませんが、岩多箸店が自信をもってお勧めできる高級なお箸です。
これで製造工程の説明は終わりです。
このブログで始めにお話しした、私があなたにお勧めしたい理由はわかりましたか。
これで、少しでもお箸に興味を持っていただければ、うれしいです。
最後に、宣伝を一つさせていただきます。
岩多箸店のホームページにて、この「極上青貝乾漆箸」を販売しております。
上記の説明通り、自信を持ってお勧めできるお箸ですので、2年間の保証期間を設けております。
詳しくは下記をご覧ください。
岩多箸店の代表です。
輪島で生まれ、小・中・高まで輪島で過ごし、その時に箸製造の手伝いを経験し、すべての工程を学びました。
金沢大学に進学し、経済学を学び、卒業後北陸銀行に入行。たくさんの方々と出会い、かわいがってもらいました。
16年勤務後、輪島に戻り箸製造の手伝いを始め、先代から経営を引き継ぎ、現在に至ります。
生まれ育ち大好きな輪島から、お箸を熟知して、私たちが作った自慢のお箸を皆様にぜひ使っていただきたいと思います。